2019年12月21日土曜日

張弦準備2





1925年製GROTRIAN STEINWEG グランドピアノ2m20
新しく弦を張りなおす際には、どの種類のどの太さの弦を張るのかを検討します。
元の弦のデータをもとに、張力計算、応力計算、インハーモニーシティーの計算などをして、総合的に判断します。
私は古いピアノを修復するときには、基本的に全体の張力を落として弦を張ることにしています(つまり元の弦より細い弦を張ることになります)。
それは修復師の考え方に依るので、必ずしも正しいかどうかはわからないのですが、木の年齢やこれから長生きしてもらいたいことを考えると、ピアノへの負担を軽くするのが良いと思われるのです。
ピアノには、全体でおよそ20トンもの力が常にかかっているので、年をとった木はだんだんと耐えられなくなってくることもあります。
ではどのくらい張力を落とすのが良いのか、そこがいつも悩むところです。
あまり落としすぎるとパワーが落ちて音量が減ったり貧弱な音になったりすることも予想されるからです。
ピアノの年齢、体力、構造などを総合的に見ながら、そのピアノに合った弦を張ってあげなければならないと思っています。
これにはマニュアルはありません。
自分の経験と先輩から学んできたことを参考に、自分自身でこのピアノと向き合います。
結果は、最後に音が出る時までわかりません。

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