北軽井沢ミュージックホールの歴史や先人の思いを受け継ぐ1925年製グロトリアン・スタインヴェーグのピアノが、音楽を愛する皆様のご寄付により修復されます。 再び心に響く音色が甦りますように! 修復の様子を随時掲載していきます。
2019年9月22日日曜日
グロトリアン・スタインヴェーグについて
グロトリアン社は、1835年ハインリヒ・エンゲルハルト・スタインヴェーグ(後にアメリカへ渡りスタインウェイ社を創設した)により、ドイツのゼーセンで創設されました。
1850年スタインヴェーグ一家は長男のテオドール・スタインヴェーグにピアノ工場を任してニューヨークへ移住しました。
1856年フリードリッヒ・グロトリアン(ドイツからモスクワへ行きピアノ販売事業を手がけた後帰国した)がパートナーとして加わり、1857年にピアノ工場をブラウンシュヴァイクへ移しました。この街で今日までピアノ製造を続けています。
1865年テオドール・スタインヴェーグは、会社の株式をヴィルヘルム・グロトリアンと共同経営者たちに売却し、ニューヨークへ渡りました。
ヴィルヘルム・グロトリアンは、ヴィリとクルトという二人の息子を海外(アメリカ、フランスなど)へ送り出し、ピアノ製造を学ばせました。
「息子よ、良質なピアノを作りなさい。そうすればおのずと結果はついてくる。」というヴィルヘルム・グロトリアンの残した言葉が、現在でも社訓として受け継がれています。
そして19世紀の終わりには、グロトリアン社はドイツのトップピアノ製造会社に数えられるようになりました。
第二次世界大戦中、軍事部品の製造を命じられたグロトリアンの工場は、1944年に爆撃され完全に破壊されてしまいました。
その後、クルト・グロトリアンの息子のエルヴィンとヘルムートが不屈の精神で工場を再建し、1948年までに生産は再開されました。
今日もドイツのブラウンシュヴァイクで製造を続けていますが、2015年香港のパーソンズ・ミュージック・グループがグロトリアン社の株式の大半を取得し、製造過程の一部を中国でも行うようになっています。
グロトリアンピアノの音色の特徴は、甘い音色とシンギングトーンと言われています。
音楽を愛し、楽器作りに情熱をかけてきたグロトリアン家の技術者たちが目指すのは、人の声が歌うような音色作りでした。
今回の修復により、グロトリアンの歴史を背負うピアノが、甘い音色とシンギングトーンを甦らせることができるようにと、願っています。
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